各地のようかい
北海道
- アイヌカイセイ
- 空き家や古い家に現れる。アットシ(樹皮の繊維で作った衣)を着ていて、眠っている者の胸や首を圧しつけ襲う。
- アイヌソッキ
- アイヌ民話に伝わる人魚。人語を解すことが出来る、及び話すことが出来るともいわれる。この肉を食べると長寿になる。
東北
- ユキオンナ(青森)
- 雪女。美しい女の姿。子供を抱いていて、人が近寄ると子をあずかってくれと言うが、あずかると子が天まで届くくらい大きくなる。あずからないと殺される。
- マヨイガ(岩手)
- 迷い家。山中の不思議な家。その人のために家が現れるという。この家に行き当たったら、家の中の什器などを何でも持って帰るべきである。
- ジンベイサマ(宮城)
- 気がつくと船の下に巨大な影がある。全体がわからないほど大きい。これが出ると鰹が大漁になる。
- カクレザトウ(秋田)
- 隠れ座頭。夜中に踏みがらを搗くような音をさせる。夜中、外に箕を出しておくと隠れ座頭が借りていくという。市日にこれを見つけると福を授かる。
関東
- オボ(群馬)
- 足に絡まって歩き辛くなる。刀の下げ緒や着物の小褄を与えると、それに気を取られて離れるという。
- ソデヒキコゾウ(埼玉)
- 袖引き小僧。道行く人の袖を引き、驚かせる。後ろから袖を引かれるが、振り返っても誰もいない。歩くとまた引かれる。
- ウミニュウドウ(千葉)
- 海入道。大晦日、千倉町の海に出現した。「お前は何が怖いか」と聞くので「稼業ほど怖いものはない」と答えたら消えたという。
中部
- タテエボシ(新潟)
- 海から得体の知れない高いものが数十間も立ち上がったかと思うと、さっと船のほうに倒れかかる。
- センポクカンポク(富山)
- 人の顔をしたヒキガエルのような姿。死者の掛けむしろに現れ、一週間たつと大戸の外に出て番をし、三週間は家にいて四週間くらいで死者の魂を墓へ導く。
- アオボウズ(静岡)
- 青坊主。春の日暮れ、帰り遅れた子供がいると、麦の中から真っ青な麦坊主が出てきてさらっていく。
近畿
- ダンダラボウシ(三重)
- 身の丈10メートル、一つ目片足の大男。村の美しい娘を狙ってさらったが、村中の藁を集めて巨大なわらじをひとつ作って大王崎に下げてから来なくなった。
- アブラボウ(滋賀)
- 油坊。昔、比叡山の僧侶が遊びのために油を盗んでお金を作ったが、死んでしまった。その亡霊が油を返しにくるのだという。
- オサカベ(兵庫)
- 長壁。姫路城の天主櫓の上層にいた。年に一度城主のみと対面し、城の運命を告げるという。姿は老婆、十二単、座頭などの姿が伝えられる。
- ジャンジャンビ(奈良)
- 県内各地にある。飛ぶときにジャンジャンと音をさせ、二つの火の玉が飛び、もつれあう。男女の霊だともいわれる。
中国
- カゲワニ(島根)
- 影鰐。海にうつった船夫の影がこの鰐に飲まれると、その船夫は死ぬという。
- シンパチギツネ(島根)
- 新八狐。新左衛門新八。松江城で飛脚をしていたらしい。
- バタバタ(広島)
- 夜に屋根の上や庭で畳を杖で叩くような音が鳴る。戸を開けると遠くに聞こえ、尋ねていくと、違った方角から聞こえてくるので、音のする場所を確かめることができない。
- タキワロウ(山口)
- 崖童。海辺の崖などに現れ人を驚かす。タキワロウに会って長く患った、タキワロウがグミだと言ってコガの実を一杯くれた、という話がある。
四国
- カササシタヌキ(徳島)
- 傘差し狸。旧伊予街道の馬谷に住む狸。雨の降る夕方などに傘を差した人に化け、通行人を招く。うっかり傘に入れてもらうととんでもないところに連れて行かれる。
- ネコマタ(香川)
- 飼い猫が古くなるとネコマタになり、尾が二つに裂け、後ろ足で立って踊ったりするという。小豆飯に魚を添えて赤手拭をかぶせ、もう暇をやるから出て行け、というと家に仇をなさずに出て行く。
- ノヅコ(愛媛)
- 間引きされた赤ん坊の霊が化けたとされる妖怪。夜に通行人の足をもつれさせる。突然ぎゃっという声をあげたり、赤ん坊の泣き声を上げるという。
- ジャン(高知)
- 海上で夜中この音がすると漁はまったくなくなる。
九州
- クダン(福岡)
- 九州・中国地方でいう。牛のような姿で、予言をする。予言が外れたことはないという。生まれて四、五日しか生きない。
- ヤンブシ(宮崎)
- 坊主が首をくくったところに必ず出る、大きな人影のような妖怪。
- シキ(鹿児島)
- 九州西側の海上で秋から冬に掛けて、夜の海が魚群で白くなって見えることをいう。亡霊が魚になってついてくるのだといわれている。
沖縄
- シイノキノセイ
- 椎の木は必ず人間を守ってくれるという。椎の実を拾いに山へ入って迷子になった少女が、大勢の緑の衣を着て踊るものに会った。そのとき大きな猪に襲われそうになったが、白い髭をはやした翁に抱き上げられて救われた。翌朝目が覚めると、椎の木の大木の下にいたのだという。
- ユナーメー
- 髪の毛がぼうぼう生えた妖怪。那覇上泉町地蔵前の、ある家に、この木面が保管されている。